砂にほどける抱擁

アイドルスパイスビジュアル,伊藤しほ乃さん

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タイトル 伊藤しほ乃 Honeymoon
メーカー品番 MMR-AZ053
動画時間 112分
発売日 2017/04/28
カテゴリ アイドル
レーベル スパイスビジュアル
出演者 伊藤しほ乃さん
 
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スパイスビジュアル

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オマージュ小説
月下の微熱 ―しほ乃の告白―

その島は、東京から南へおよそ二時間、小さなプロペラ機でしか辿り着けない孤島だった。白い砂浜と、緑濃いジャングルのような森、そして何より、時間の流れさえゆるやかに感じさせるような静けさがあった。

 撮影最終日、陽はとうに沈み、浜辺には月の光だけが降り注いでいた。柔らかな波音のなか、しほ乃はひとり、真珠色のビーチパレオをまとい、波打ち際に立っていた。

 彼女の肌は月に照らされ、乳白色の光をまとっていた。しなやかに引き締まった細身の肢体に、豊かな胸元の曲線が柔らかく浮かび上がる。まるで彫刻のような美しさでありながら、そこに宿る熱は、生身の女としての息づかいを強く感じさせた。

「……遅かったじゃない」

 振り返ったしほ乃の声は、少しだけ湿っていた。撮影を担当していた青年カメラマン、相馬が遅れて現れる。

「すまない、機材の確認をしていて」

 そう言いながら近づく彼に、しほ乃はふわりと笑った。だがその笑みの奥には、言葉にされなかった想いが確かに滲んでいた。

「ねえ、相馬さん。私って、どんな風に映ってた?」

 問いかけには、ただの興味本位ではない響きがあった。相馬は少し戸惑いながらも、誠実な眼差しで答えた。

「……誰よりも、美しく、そして……寂しそうに、見えた」

 その言葉に、しほ乃の肩がかすかに震えた。

「やっぱり、わかっちゃうんだね。どんなに笑っても、誤魔化せないんだ……」

 彼女は相馬の胸元に手を添え、ゆっくりと顔を近づける。淡い潮の香りとともに、彼女の吐息が夜気に混ざっていった。

「もう、誰かの“作られた私”じゃなくて……私自身を、見てほしいの」

 相馬は静かにうなずき、その頬に触れた。しほ乃の瞳は潤み、まるで今にも涙が零れそうだった。

 唇が触れ合うその瞬間、時が止まったかのようだった。乾いた風がふたりの間を通り抜け、砂が舞う。その中で、彼女の身体はそっと相馬に預けられた。

 肩をすべる手のひら、背中をなぞる指先。ひとつひとつの動きが、まるで長い旅路をたどるように丁寧だった。快楽という名の目的地に急ぐことなく、ふたりは互いの輪郭を確かめるように触れ合った。

 波の音、月の光、そして肌と肌のぬくもり。すべてが静かに重なり合い、甘やかに満ちていく。

 しほ乃の吐息は、深く、熱く、そしてどこまでも優しく、相馬の耳元で震えた。

「こんなふうに、誰かに触れられるの……久しぶり」

 相馬はその言葉に何も言わず、ただ彼女を強く、そして柔らかく抱きしめた。その抱擁が、言葉以上の答えだった。

 やがてふたりは砂浜に身を横たえ、波打ち際のわずかな湿りを感じながら、月の下でゆっくりと結ばれていった。抑え込んできた孤独も、飾られた虚像も、この夜だけはすべて脱ぎ捨てるように──

 しほ乃は今、ようやく「私」として、誰かに愛されていた。

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